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教科書の墨ぬり
敗戦とともに教育も軍国主義から民主主義教育へ大きく転換した。終戦から1ヶ月たった9月15日、文部省は『新日本建設の教育方針』の中で「教科書は新教育方針に即応して根本的に改訂を断行しなければならないが、差しあたり訂正削除する部分を指示して教授上遺憾なきを期することとなった」と述べ、さらに同年末には国史・修身・地理の3教科を停止し、翌21年2月から教科書の回収がはじまった。
国民学校の教科書は「国体の本義」「臣民の道」を基調にして日本民族の優秀性を誇示し、国家主義・軍国主義を強くだして戦意の高揚を図っていた。それだけに米国政府は日本の教科書を「軍国主義・国家主義的観念を執拗におりこんで生徒に課し、かかる観念を生徒の頭脳に植え込まんが為のもの」ときめつけ、とくにその内容のひどい修身・国史・地理を全部回収させたのである。
しかし、それらの教科書を急に切りかえることは至難であったので、軍国色の強い個所はこれまで教えてきた教師が指示して、教えをうけた児童が自分の手で墨を塗るという作業が進められた。今まで絶対に正しいと信じ、落書きもしなかった教科書を墨で塗りつぶしたのである。なお回収された教科書は製紙工場へ送られ、新たに発行される代行の教科書の用紙として使用された。
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